診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
北アメリカ原産で、アメリカ、カナダ、インド、オーストラリアなど世界各地に広く分布している。日本では明治初期に千葉県の牧場に侵入しているのがみつかり、現在では北海道から沖縄県まで全国に分布している。
道端、空き地、道路の植え込み内など多くの場所にみられるが、古くから草地の雑草として知られており、近年、飼料用トウモロコシ畑などでも頻繁にみられるようになってきた。全身に鋭いトゲを有するため抜き取りにくく、効果のある除草剤も少なく、防除することがとても難しい雑草の一つである。
種子と根茎で繁殖する多年生雑草である。春に発生し、草丈は30cmから1m程度、茎が節ごとに「く」の字状に曲がり、茎および葉の中央脈に沿って長く鋭いトゲを多数有し、ジャガイモの花に似た直径3cmほどの白~紫色の花を咲かせる。垂直に下降する垂直根と水平に伸びる横走根からなる非常に発達した根茎を形成する。花が終わった後にできる球状の果実中には百個前後の種子が含まれ、一個体から数千個の種子が形成され、晩秋には地上部が枯れる。
繁殖は種子からの発芽以外に根茎からの萌芽によっても行われる。根茎からの萌芽能力はきわめて高く、1cm長に切断された根茎からも萌芽がみられる。ワルナスビの根茎は50cmの深さからも萌芽する能力を有するが、細かく切断された根茎については、深く埋められるほど出芽数が減少することも知られている。
ワルナスビは草丈があまり高くないので、背の高い作物に被陰されることで生育が強く抑制される。そのため、飼料作では、スーダングラスのような背が高く全面播種できる夏作物を植付けて覆うことでワルナスビを減少させることができる。
一方、トウモロコシ栽培の場合は畦間が比較的明るくこの効果はあまり期待できないため、作物植付け前にプラウで深耕して、地表近くに広がっているワルナスビの根茎を切断しながら地下深くに埋め込むことで出芽を抑制する。この際、プラウ耕を行わずにロータリー耕を行うと、切断された多数の根茎を圃場全体にばらまくことになり、発生面積が一気に拡大するおそれがあるので注意を要する。また、ワルナスビの発生している圃場を耕起したトラクターを移動する際には、機械に付いている土をよく落として根茎を他の圃場に移動させないようにすることも大切である。
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