診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
一般にホオズキ類と呼ばれている畑地雑草としては、ナス科ホオズキ属(Physalis属)のヒロハフウリンホオズキ、ホソバフウリンホオズキ、センナリホオズキなどの狭義のホオズキ類の他、ナス科ナス属(Solanum属)のイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキなどのイヌホオズキ類が含まれる。これらはほぼ全国の畑地の他、道端、空き地などに広く発生がみられる。このうちイヌホオズキは在来植物であるが、ヒロハフウリンホオズキ、センナリホオズキは熱帯アメリカ原産、ホソバフウリンホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキは北アメリカ原産の帰化植物である。これらのホオズキ類はいずれも一年生であるが、慣行の除草剤が効きにくいため大豆畑などで問題雑草となっている。
ホオズキ類は、一般に春から夏にかけて発生し、夏から秋に開花・結実する一年生雑草である。
ヒロハフウリンホオズキの茎はよく分岐し、軟らかい毛がまばらに生え、高さ80cmほどになり、葉は先のとがった卵型で縁に不規則な切れ込みがある。ホソバフウリンホオズキはヒロハフウリンホオズキに比べ葉が細く、若い部分に細毛が散生するほかは全体的に無毛である。花は淡黄色でヒロハフウリンホオズキが径7〜10mmなのに対し、ホソバフウリンホオズキは4〜5mmとやや小さい。センナリホオズキは花冠の内部中央にはっきりとした紫斑がある点で区別できる。これら狭義のホオズキ類は、いずれも開花後、がくが袋状になり果実を包み込む特徴がある。
イヌホオズキ類は種レベルの識別が難しく、花の付き方や種子の大きさ、果実内の白色球状の顆粒(球状顆粒)の有無などで判別されている。イヌホオズキは茎がよく分岐して高さ60〜90cmほどになり、葉は先のとがった卵型で縁に粗い切れ込みがある。花は白色で、黄色いおしべが突き出す。球状の果実は花茎にずれながら房状につく。果実は熟すと黒色になるが光沢は鈍く、2mm程度の種子が30〜60個入り、球状顆粒を持たない。アメリカイヌホオズキとテリミノイヌホオズキは、黒く熟した光沢のある果実が花茎の一点から放射状につく点でイヌホオズキと区別でき、さらにアメリカイヌホウズキは、種子数が60〜120個と多く、果実内に数個の球状顆粒を有する点でテリミノイヌホオズキと区別できる。
大豆畑に発生するホオズキ類は、大豆に対し養分競合や光競合による生育阻害を引き起こすばかりでなく、多発圃場ではコンバインによる収穫作業にも支障をきたす。また大豆が成熟する時期においても茎や果実に水分を多く保持していることから、収穫時における大豆汚粒発生の原因ともなるやっかい者である。
刈り払いや抜き取り、除草剤による防除が中心となる。畑地では一度侵入すると防除が困難なため、侵入、定着を防ぐことが重要である。ホオズキ類は多くの場合が圃場周辺から圃場内に入り込むため、非選択性茎葉処理剤や、刈り払い、少量であれば抜き取るなどの方法で、圃場周辺の防除を徹底する。
大豆作ではトレファノサイドなどのジニトロアリニン系の土壌処理剤の効果は低く、また広葉雑草を対象とした大豆バサグランは、ホオズキ類の種間や種内変異によって効果が変動することから、これらの薬剤だけに頼っているとホオズキ類のまん延を助長する可能性がある。
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