診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
北米原産の一年生のつる性雑草で、日本では1952年に静岡県清水港ではじめて確認され、現在では冷涼な地域を中心として全国的に広く見られるようになった。生育はきわめて旺盛で、みるみる辺り一面を覆いつくす様は恐ろしささえ感じるほどである。
日当たりが良くかつ湿り気の多い肥沃な土地を好み、河川敷などで大群落をつくり、在来希少植物の生存を脅かすとともに、飼料畑やダイズ畑などにも発生して大きな問題となっている。飼料畑などで増えたものが河川に入り、水系を伝って水田地帯などに侵入していると考えられるため、新たな侵入畑を増やさないためにも、地域を挙げた面的な駆除の取り組みが必要である。
茎はつる状で粗い毛を密生し、巻きひげで他の植物などに巻きつく。節から多くの枝を出しながら10mを超える長さにまで伸長する。
葉には長い葉柄があり、両面はざらつく。花期は7~10月ごろで、8~10月ごろにとげが密生した長さ15mmほどの楕円形の実が数個~20個ほど球状に集まってつく。1つの実の中には長さ10mmほどの扁平な暗褐色の種子が1個ずつ入っている。よく生育した株では1株に25,000粒以上の種子をつけたという報告もある。また、秋に出芽したものは、植物体が小さくても開花・結実する。
種子は土中20cmを超える深さからも出芽し、春から秋まで長期間にわたってだらだらと発生が見られる。種子は土中で5年程度生存するといわれている。
アレチウリの芽生えは、キュウリに似て大きく、他の雑草と見分けることは容易である。
発生密度が1㎡あたり1本以下と低い場合でも、その生育の旺盛さから、最終的に甚大な減収をもたらすため、生育初期段階での防除が肝要である。
種子は大きく深い所からも発生するため、土壌処理剤は効きにくい傾向がある。
発生後のアレチウリに対しては、一般に茎葉処理剤または抜き取りにより対応するが、アレチウリの芽生えが完全に水没するように数日間湛水することで防除できる可能性も示されている。
つる長が1m程度までなら根の張りは少なく、抜き取りは比較的容易である。抜き取りの際、茎の節を残してしまうと、そこから再生してくるので注意が必要であるが、子葉より下の部分からの再生はないので、根が多少残っても問題はない。ただし、発生は長期間にわたるため、少なくとも1か月おきに3回以上の抜き取り作業が必要である。
作物に完全に被覆された芽生えはやがて枯死するため、抜き取りの際には、できるだけギャップ(地面が露出した部分)を作らないように気をつけながら、作物の上に出てきたアレチウリのみを抜き取っていくのが効率的である。
アレチウリの結実時期は8月以降であるので、結実時期前に収穫できる早生品種を作付し、アレチウリの新たな種子を落とさないようにすることも有効な防除手段となる。
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