診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
標準和名はヤブカラシ。北海道から南西諸島にいたる全国で荒れ地、空き地、林縁、土手の斜面などに普通にみられ、道端のフェンスなどにからみつきながら繁茂している姿をよくみかける。樹園地や林地などあまり耕起されない農地にも侵入し、作物を覆って枯らしてしまうやっかい者であり、再生力が強く、除草剤も効きにくいため、難防除雑草となっている。
主に地下茎によって繁殖する多年生雑草である。春に、長く横に伸びた地下茎のところどころから、赤紫色の新葉をつけた茎を地上に伸ばし、葉の付け根から伸びる巻きヒゲでフェンスやほかの植物にからみつきながら、急速に成長する。ヤブガラシの葉は5枚ほどの小葉からなる複葉で、茎は数mの長さに達し、7~8月頃に茎の途中に小さな花が房状に集まった花を咲かせ、晩秋には地上部が枯れる。
広い範囲にふつうにみられる3倍体のヤブガラシは結実しないが、近年になって、西日本を中心に分布し、結実するヤブガラシは2倍体であること、沖縄諸島に分布しているヤブガラシ類の大部分は別種のヒイラギヤブガラシ(Cayratia tenuifolia)であることが明らかになった。
頻繁に耕起される圃場にはほとんど発生がみられないことからも、耕起作業が発生を抑制していることが推察されるが、切断された地下茎を地表に1日以上放置すると茎中の水分が減って萌芽できなくなること、また地下茎を土中25cmの深さに埋設すると出芽できなくなることから、耕起によって切断した地下茎を地表にさらしたり、地中深く埋め込んだりすることで発生量を減らすことができると考えられる。一方、耕起を行えない場所では、刈り取りや除草剤を使った防除が考えられるが、刈り取りについては地下茎からの速やかな再生がみられるため防除効果は低い。
稲の病害虫と雑草 |
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