病害虫・雑草の情報基地

難防除雑草

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

カラスノエンドウ

Vicia sativa
マメ科

地中海地方原産で、本州から四国・九州・沖縄の路傍など日当たりの良い場所で生育する越年生雑草である。名前や姿はエンドウだが、「エンドウ属」ではなく「ソラマメ属」である。
豆果が黒く大きいことからカラスの名がつけられ、標準和名では小葉の形を矢筈(やはず)に見立てたことからヤハズの名がつけられたようである。
近縁の仲間には、スズメノエンドウ、カスマグサなどがある。

写真をクリックすると拡大します

カラスノエンドウ
閉じる

ムギ畑内のカラスノエンドウ©植調協会

カラスノエンドウ
閉じる

ムギ収穫時期のカラスノエンドウ(果実期)©植調協会

カラスノエンドウ
閉じる

カラスノエンドウの群落©全農教

カラスノエンドウ
閉じる

秋の芽生え©全農教

カラスノエンドウ
閉じる

越冬期はほふく茎を広げる©全農教

カラスノエンドウ
閉じる

カラスノエンドウの花©全農教

カラスノエンドウ
閉じる

果実は熟すと黒くなる©全農教

カラスノエンドウ
閉じる

果実の中の種子。通常ははじけて飛び散る©全農教

カラスノエンドウ
閉じる

コムギ(上)とカラスノエンドウ(下)の種子©植調協会

カラスノエンドウ
閉じる

参考:スズメノエンドウ。全体に細くてひ弱な感じ©全農教

カラスノエンドウ
閉じる

参考:カスマグサ。カラスノエンドウとスズメノエンドウの中間的な感じ©全農教


生態

秋に発芽し、根もとから分枝して四方に広がり、やがて直立し、春には草丈60cm程度になる。茎は四角柱状。葉は羽状の複葉。複葉の先端は巻きひげとなって他の物にからみつく。茎の長さは150cm程度になることもある。
花期は3~6月でマメ科特有の蝶形花をつける。
豆果は熟すると黒くなって晴天の日に裂け、種子を激しく弾き飛ばすため、近くにいると「パチ、パチ」と音が聞こえる。

防除

カラスノエンドウの種子は大きさや重さがムギ種子に近く、収穫物に混入するとふるいなどによる選別が困難で等級が下がる原因になることから、ムギ畑で発生した場合は徹底した防除が必要である。ムギ畑ではムギの播種後に発生するが、地表面下10cm 前後からでも出芽するため、発生は不斉一で長期にわたる。また、出芽しても気温が低い間は生育が緩慢であるため、生育が進んでから気づかれることがある。
除草剤の散布や中耕土入れを行っても防除できなかったものは、種子の混入を防ぐために収穫前に手で抜き取る必要がある。ムギの収穫期には、カラスノエンドウは茎が緑色、豆果が黒色であるためムギの中で見つけやすいが、先端の巻ひげがムギに絡みついているため、抜き取るには手間がかかる。

収録:防除ハンドブック「 難防除雑草

目次へ戻る  | ホームへ戻る

稲の病害虫と雑草 |  ムギ類の病害虫 |  豆類の病害虫 | 
ジャガイモの病害虫 |  サツマイモの病害虫 |  アブラナ科野菜の病害虫 | 
  トマト・ナス・ピーマンの病害虫 |  キュウリ・スイカ・メロンの病害虫 |
   イチゴの病害虫 |  ネギ類の病害虫 |  菜園の病害虫 | 
カンキツの病害虫 |  リンゴの病害虫 |  日本ナシの病害虫 |
   西洋ナシの病害虫 |  モモの病害虫 |  カキの病害虫 | 
ブドウの病害虫 |  花の病害虫 |  難防除雑草