診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
日本全国に分布し、秋に紫色の良い香りの花を多数咲かせ、秋の七草の一つともなっている。根からクズ粉や漢方薬が作られる他、葉は飼料や肥料にも利用でき、つる(茎)の繊維からはクズ布も作られる。
このように有用な植物である反面、耕作地や植林地に侵入すると、他の植物に絡み覆い被さり、植栽した苗木などを枯死させてしまうやっかいな雑草でもある。
かつては多くの農家が家畜の飼料用などとして採取していたが、現在ではこのような利用管理が行われなくなった結果、里山などでの繁茂が目立つようになっている。
種子と塊根で繁殖する多年生雑草である。日当たりの良い林縁や林間の開けた場所を好むため、山を切り開いて新しく建設された道路の法面などはクズの生育にきわめて適した環境となる。根粒菌との共生により、空中窒素を固定し利用する能力があり、痩せた土地でも良く育つ。
春に種子または塊根の上部(株頭)やそこから伸びた太いつるの節々から新たな芽を出し、他の植物や建造物などに絡みつきながら急速に成長する。葉は大形で互生し3つの小葉からなる複葉である。頂小葉はひし形の円形で3裂するものもある。左右の側小葉はゆがんだ円形から楕円形で時に3裂する。8~9月頃に紫色の房状の花を咲かせ、その後に枝豆の莢によく似た褐色の毛に覆われた実をつける。この頃になるとつるの成長速度は低下し、代わりに地下の塊根に多量のデンプンを蓄え始め、冬になると葉や細いつるは枯れる。
アメリカなどでは、一日に数十cmものびるといわれるその成長力が注目され、家畜の飼料や緑化、砂防を目的として日本から導入されたが、現在ではそれが野生化して高速道路や林地、農耕地などで繁茂し、有用樹を枯らしたり、電線に絡み付いてその重さで切断したりするなど、やっかい者扱いをされている。
旺盛な成長力や再生力、また複雑に絡み合ったつるによる作業性の悪さなどにより、刈り取りなどの機械的な防除だけでは、労力、コストに見合った防除効果が得られないことが多い。
一方、除草剤については、茎葉散布処理や株頭滴下処理などでクズに高い効果を示す薬剤が登録されているので、これらを利用すれば効率的な防除が可能である。
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