診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
生長点部や若い葉に好んで寄生する。ナスでの初期の被害症状は生長点部が細くなり、葉がやや硬化したように見える程度であるが、ひどくなると葉が奇形化し、ホルモン障害に似た症状を呈して芯止まりになる。若い葉は葉裏が光沢を帯び褐変する。幼果が加害されると被害部が灰褐色を帯びたサメ肌状になる。花蕾が加害されると花弁が退色し、奇形花になる。茎、果梗、へたも被害部は褐変する。ピーマンでもナスと同様の被害症状を呈するが、被害がひどくなると生長点が黒変して芯止まりになる。ナス、ピーマンが一度芯止まりを起こすと回復するまでに約1か月を要するため、被害は大きい。トマトでの被害は少ない。
ナス、ピーマンなどナス科、キュウリなどウリ科、インゲン、イチゴ等。
苗による持ち込み、雑草地からの侵入などが主な発生要因と考えられるが、コナジラミ類の脚に取り付いて移動していることが知られている。発生初期は局所的であるが、整枝、収穫作業などで急速に周辺の株に広がる。最近、マルハナバチや天敵を導入し、薬剤の使用が少ない施設で発生が著しく多くなっている。発育態は卵、幼虫、成虫である。発育速度は早く、短期間で高密度になる。25℃下で卵から成虫までの発育期間は約6日である。両性生殖と単為生殖を行い、単為生殖の卵から生まれた個体は全て雄になる。
薬剤以外に有効な防除法はなく、発生を認めたら早めに薬剤散布を行う。天敵のスワルスキーカブリダニ剤(スワマイト、スワルスキー、スワルスキープラ等)、リモニカカブリダニ剤(リモニカ)(施設栽培野菜類)が有効。
生長点部がホルモン障害様を呈し、ひどい場合には芯止まりになる。チャノホコリダニによる被害と酷似しているが、芯部が黒変、枯死するような被害は現れない。なお、トマトでは、果面に付着した花弁に灰色かび病などが発生すると、そこで繁殖した個体に加害され、かさぶた状の傷が生じることがある。
ナス、ピーマン、トマト、キュウリ、メロン等。
圃場に施用された有機物や敷きワラなどが発生源となる。有機物が分解する過程で大量に発生し、生長点部に移動して加害する。発生時期は、主に育苗時と本圃初期である。元来、食菌性のダニであるため、有機物が完全に分解すると急速に密度が低下する。健全な植物体上で繁殖することはほとんどないが、灰色かび病などの病害が発生した部位では、これらの菌を摂食して繁殖する。25℃における卵から成虫までの期間は約5日であり、発生すると短期間内に高密度になる。
稲ワラなどの施用を避け、十分腐植化した有機物を施用する。
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