診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
ナスでは葉や花弁が食害されるが、果実が加害されることはほとんどない。葉では、主に葉裏が吸汁され、白い小斑点が生じ、ひどい場合には葉裏が褐変する。花弁が加害されると白く脱色する。ピーマン、シシトウでは、主に花に寄生し、密度が高くなると幼虫がへたの下に潜り込み加害するため、へたの周囲が黒く変色する。また、果実表面に産卵痕と思われる小さな突起が生じる。トマトでは、開花時に花に集まり、子房に産卵するため、産卵痕の回りが白く色が抜け、白ぶくれ症になる。この症状は灰色かび病菌によるゴーストスポットの症状によく似ているが、白ぶくれ症の場合には産卵痕が残り、その部分がやや陥没している。トマト黄化えそウイルスの媒介虫でもある。
ナス、ピーマンなどのナス科、イチゴ等。
冬季休眠するため、発生は早春から晩秋にかけて多い。施設ナスは夜間の栽培管理温度が低いため、厳寒期の発生は少なく、9~11月と3月以降に目立つ。花によく集まるので、圃場周辺に花をつけた雑草が多いと圃場への侵入が多くなる。主な寄生部位は花であるが、ナスでは葉にもよく寄生する。卵は主に葉肉や葉脈内に産付されるが、トマトでは開花時の子房、花弁、柱頭などに行う。幼虫は2齢を経て蛹化する。卵から成虫になるまでの発育期間は25℃下で約10日。両性生殖と単為生殖を行う。
換気窓への防虫ネットの展張やシルバーマルチ、UVカットフィルムは侵入防止効果が高い。ただし、UVカットフィルムはナスでは着色不良を起こすので使用できない。天敵のタイリクヒメハナカメムシ剤(オリスターA 、タイリク、トスパック、リクトップ)、ククメリスカブリダニ剤(ククメリス、メリトップ)、スワルスキーカブリダニ剤(スワマイト、スワルスキー、スワルスキープラス)、リモニカカブリダニ剤(リモニカ)(施設栽培野菜類)が有効。多発時には、薬剤による防除が必要。
ナスでは、成・幼虫の吸汁加害により葉に白色の小さな斑点が生じる。被害がひどくなると白色斑点が葉全体に広がり、その後葉裏が褐変する。茎も加害され、被害部は褐変する。発生が多くなるとへたや果面にも褐色の傷が生じる。トマトでは、葉と果実が加害される。葉の被害症状はナスの場合と同様であるが、果実では幼果期に加害されるとソバカス状の斑点が生じる。
ナス、トマトなどナス科、キュウリ、インゲン等。
通常、露地栽培では8~9月、施設栽培では4~5月に発生が多い。発生は苗による持ち込みと周囲の雑草地などからの成虫の飛び込みから始まる。産卵は葉肉や葉脈などの組織内に行われる。幼虫は2齢を経て土中で蛹化する。25℃における卵から成虫になるまでの期間は約13日。他のアザミウマ類と同様、両性生殖と単為生殖を行う。なお、本種はトマト黄化えそウイルスを媒介する。
防虫ネットによる換気窓の被覆、シルバーポリフィルムによる畦被覆、UVカットフィルムの展張は成虫に対する侵入防止効果が高い。ただし、UVカットフィルムはナスでは着色不良を起こすので使用できない。天敵のタイリクヒメハナカメムシ剤(オリスターA 、タイリク、トスパック、リクトップ)、ククメリスカブリダニ剤(ククメリス、メリトップ)、スワルスキーカブリダニ剤(スワマイト、スワルスキー、スワルスキープラス)、リモニカカブリダニ剤(リモニカ)(施設栽培野菜類)が有効。露地栽培では土着のヒメハナカメムシ類がよく働く。多発時には、薬剤による防除が必要。
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