病害虫・雑草の情報基地

難防除雑草

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

スズメノカタビラ

Poa annua
イネ科

北海道から沖縄まで広範囲に分布する。畑地、家の庭、道端、公園、空き地などいたるところで、秋から春にかけて普通に見られる小型の一年生雑草である。踏みつけや刈り込みに強く、秋から春までだらだらと発生し続け、さらに早春から長期間にわたって結実し続けるため、何度防除しても発生してくるやっかいな雑草となっている。
特にゴルフ場では、頻繁に刈り込みが行われるグリーン内にもその環境に適応した矮小型のスズメノカタビラが無数に発生して問題となっており、それらは種子だけではなく切断された切片からも再生し増殖していることが判ってきた。

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スズメノカタビラ
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ネギ畑のスズメノカタビラ。南向きの面に目立つ©全農教

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出穂期のスズメノカタビラ©全農教

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大きく成長したスズメノカタビラ©全農教

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越冬前のスズメノカタビラ©全農教

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春に芽生えてすぐに穂をつけたスズメノカタビラ©全農教

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スズメノカタビラの穂©全農教

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参考:ツルスズメノカタビラ。全体に青味がかることが多い。大きな群落になる©全農教

スズメノカタビラ
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参考:オオスズメノカタビラ。草丈は50~100cmとスズメノカタビラよりかなり大きい©全農教


生態

種子で繁殖し多くは秋に発生する越年生雑草である。春になると株化し、春先から出穂しはじめ大量の種子をつけ、夏には衰退枯死する。春から発生した個体でも小型のまま出穂して結実することができる。
種子の休眠は浅く温度や水分の条件が合えば一年中いつでも発生するが、種子は好光性であるため発生深度は浅い。
耐寒性が強く、日陰でも生育し、踏みつけにも強く、また多様な種内変異を含んでおり、変種や近縁種と混在しながらさまざまな環境条件下でしぶとく生き残って種子を生産する。形態的に類似する多年生タイプのツルススズメノカタビラやオオスズメノカタビラなどもある。

防除

根は浅いが密に生えて引き抜きにくい。畑地では耕起作業により既発生個体はほとんど除去されるが、種子からの発生は作物の播種・定植後も続き、除草剤散布や中耕など作物栽培中の防除が必要となる。
ゴルフ場の芝地内では、刈込みに強いため耕種的方法により除去するのは困難で、発生前に薬剤を使って防除するのが一般的である。寒冷地のゴルフ場などで芝生として使用されるケンタッキーブルーグラスは同じPoa属(スズメノカタビラ属)であるため、いったんスズメノカタビラの侵入を許すと薬剤による防除はきわめて困難となる。

収録:防除ハンドブック「 難防除雑草

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