診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
全国に分布し、水田、道端、荒地等に生育し、春の水田でよくみられる。近年、麦作で発生するスズメノテッポウの中に除草剤抵抗性の個体が出現し、それらが多発すると防除が困難なことから問題となっている。
近縁種にセトガヤがある。セトガヤは関東から九州にかけて発生し、スズメノテッポウと大きさや形が似ており、同じような場所に生育するので区別が難しいが、開花時には葯(やく)の色がスズメノテッポウは黄褐色なのに対し、セトガヤは白色なので区別できる。
種子で繁殖する越年生雑草である。秋に発生、幼苗で越冬し、春に生育が旺盛となり、春~初夏に開花する。草丈は20~40cm、茎は中空で円柱形、根元で枝分かれし、少し横に広がり立ち上がる。葉は線形、花序は長さ3~8cmの細い円柱形で小穂を密に多数つける。小穂から出た葯(やく)は花粉を出した後黄褐色になり目立つ。
スズメノテッポウにはそれぞれの生育状況に適応した水田型と畑地型の種内変異のあることが知られている。水田型は草型が伏性で日長反応が中性、種子の休眠が浅いのに対し、畑地型は中間~立性で日長反応は長日性、休眠が深いことが知られている。
耕起や除草剤の利用が中心となる。開花、結実する前の早春期頃までに防除することで次回の発生源となる種子形成を抑えることができる。刈り払いでも防除可能であるが、株元から再生があるため複数回の防除が必要になる。
麦作ではトレファノサイドなどジニトロアニリン系もしくはハーモニーなどスルホニルウレア系除草剤の抵抗性バイオタイプ、また両系統の複合抵抗性バイオタイプが発生しているが、それらには抵抗性バイオタイプに有効性が確認された除草剤を使用して防除する(公益財団法人日本植物調節剤研究協会ホームページに掲載)。発生が多い場合は麦類を播種するまでの間に土壌表層から発生したスズメノテッポウを非選択性除草剤で防除した後に晩播することや、土壌表層のスズメノテッポウの種子が少ない状態で、そのまま下層にある種子を表層に移動させないように、浅耕もしくは不耕起で麦を播種することで、その後のスズメノテッポウの発生量を減らすことができる。
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