病害虫・雑草の情報基地

ハンドブック ムギ類の病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

ムギアカタマバエ

Sitodiplosis mosellana
ハエ目(双翅目)タマバエ科 《加害》穂

写真をクリックすると拡大します

ムギアカタマバエ
閉じる

ムギアカタマバエ成熟幼虫 ©江村薫

ムギアカタマバエ
閉じる

ムギアカタマバエ頴内の幼虫 ©江村薫

ムギアカタマバエ
閉じる

左:健全穂、右:ムギアカタマバエ被害穂 ©江村薫


被害

コムギでの被害が多く品質低下、減収、多発時は収穫皆無となる。1穂に注目すると、加害される穂は上部に多い傾向があり、多発圃場では穂が全体に食害される。加害された子実は肥大しないため、収穫期になっても穂は細く容易に発見できる。幼虫は外頴内部に潜み、子実を食害して凹み、細粒化をもたらす。穂内に5個体の幼虫が生息すると約5%の減収となる。

被害作物

コムギ

発生

本州以南に生息する。土中で円形繭内幼虫が休眠状態で夏~冬を過ごし、春に休眠から覚める。地表近くに移動し、今度は楕円形繭をつくり蛹化。関東ではコムギの開花時の4月下旬~5月上旬に羽化して穂の先端部の外頴内に1~10卵を産付する。ふ化幼虫は外頴内で育ち、収穫時期になると地面に落下して地中に潜り、円形繭をつくり休眠に入る。連作コムギ畑で大発生をすることがあるが、数年で収束する。

防除

本害虫が発生する圃場ではオオムギを栽培する。夏に水田化が可能な場所ではイネを栽培するか、湛水処理を行う。出穂~穂ばらみ期に薬剤を散布する。

収録:防除ハンドブック「 ムギの病害虫

目次へ戻る  | ホームへ戻る

稲の病害虫と雑草 |  ムギ類の病害虫 |  豆類の病害虫 | 
ジャガイモの病害虫 |  サツマイモの病害虫 |  アブラナ科野菜の病害虫 | 
  トマト・ナス・ピーマンの病害虫 |  キュウリ・スイカ・メロンの病害虫 |
   イチゴの病害虫 |  ネギ類の病害虫 |  菜園の病害虫 | 
カンキツの病害虫 |  リンゴの病害虫 |  日本ナシの病害虫 |
   西洋ナシの病害虫 |  モモの病害虫 |  カキの病害虫 | 
ブドウの病害虫 |  花の病害虫 |  難防除雑草