診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
古くからダイコンシンクイムシとして知られるが、近年発生量が多い。幼虫が芯部(生長点)に食入することによって、著しく生長が阻害され芯止まりの症状となり、幼苗期の加害は株の枯死に至ることも多い。キャベツなどの結球類や、ダイコンでは、ある程度大きくなると芯部に潜り込むことは少なくなり、大きな被害が発生しない。コマツナ、ミズナなどの葉菜類では収穫期まで著しい被害となる。
ダイコン、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、コマツナほかアブラナ科野菜。フウチョウソウ科のクレオメにも発生する。
終齢幼虫約15㎜、胴部は乳白色の地色に褐色の縦線をもち、頭部は黒い。成虫は翅が薄茶~褐色で波紋をもった前翅長約9㎜のややずんぐりとした形である。 5月頃から発生が始まるが、関東では8月に入ると急に発生が多くなり、露地では10月まで幼虫の発生が見られる。生育初期の株に発生すると被害が大きい。成熟すると被害株の株元の土中に砂や土を糸で綴った土繭を作って蛹化する。平地では年間6世代前後を繰り返す。成虫はコナガと同様に昼間も活発に活動する。高温乾燥条件では発生が多くなる。
成虫飛来による産卵、苗による卵および幼虫の持ち込みを避ける。幼苗期は防虫網やべたがけ資材を使った物理的防除や薬剤防除対策を取る必要がある。発生量の年次変動が大きいが、7月下旬頃から急激に多くなるので、この前後の時期には圃場の状況に注意する。施設などでは防虫網(2㎜目程度以下)で成虫の侵入を防ぐことを徹底する。夏に移植、播種するキャベツやブロッコリー、ダイコンなどでは定植・播種時の粒剤施用が省力的で有効である。栽培圃場の発生をよく観察するとともに、地域の病害虫防除所などが提供する発生情報を入手し、発生状況を確認する。
アベイル(キャベツ、ハクサイ、ダイコン)、グレーシア(キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー)、コテツ(キャベツ)、ダントツ(キャベツ、ブロッコリー)、トルネード(キャベツ)、フェニックス(キャベツ、ダイコン、ブロッコリー)、プリロッソ(キャベツ、ハクサイ、ダイコン)、プレバソン(キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー)、ベネビア(キャベツ、ハクサイ、ダイコン)、ベリマーク(キャベツ、ハクサイ)、BT剤(エスマルク:キャベツ・ダイコン・カブ、フローバック・エコマスター:キャベツ・ダイコン・ハクサイ・ブロッコリー)、その他。
(竹内浩二)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
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