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アブラナ科野菜の病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

チャコウラナメクジ

Lehmannia valentiana
マイマイ目コウラナメクジ科

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チャコウラナメクジ
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卵塊とふ化幼体 ©竹内浩二

チャコウラナメクジ
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チャコウラナメクジ ©竹内浩二

チャコウラナメクジ
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コマツナの被害 ©竹内浩二


被害

ヤスリ状の歯舌で作物の葉や茎を削り取るように食害する。穴の開いた食害痕の周囲には光る粘液が残されていることが多い。食害による作物への直接的な被害とともに、ナメクジ・カタツムリ類は人に感染する広東住血線虫を伝搬する衛生害虫としても注意が必要である。

被害作物

アブラナ科作物は好んで食害されるが、コマツナ、ミズナなど葉物野菜のほか、ハクサイ、キャベツは結球部に潜んで食害される。また、苗床や幼苗期には地際部を食害されると枯死に至ることもある。その他、ナス科、シソ科、キク科の野菜や花卉類、柑橘類で食害被害が多い。

発生

成体はおよそ50~70㎜になる。灰黄色~茶褐色で2本の明瞭な淡褐色縦線を背面に持つ。体の前方の皮下に卵形の殻を持ち、甲羅のように見えるが、これはふ化した幼体の時からある。 都市環境に適し、現在人家周辺でもっとも普通に見られるナメクジで、日本には戦後まもなく侵入した外来種である。繁殖期は春と秋で日長と温度が性成熟に関わっていることが、最近明らかになっている。同時的雌雄同体で、大阪では晩秋から春まで産卵が見られ、やがてふ化してくるが、4月頃にふ化してくる個体が最も多くなる。卵塊は数個~20個程度で落ち葉や石の下などに産下する。春にふ化した幼体は秋には成体となり、繁殖活動を始める。全国、汎世界的に分布する。

防除

夜行性で日中は落ち葉の下などの隠れ場所に潜むため、圃場の落葉や雑草管理を徹底する。湿らせたダンボールなどのトラップを数か所に置いて定期的に捕殺していくことも有効である。多発時には薬剤による防除が有効だが、誘殺の効果はそれほど高くなく、一度で防除しきれることは少ない。圃場への侵入経路や高密度な部分を少量の薬剤トラップなどで把握して、根気よく防除する。また、ハクサイやキャベツ圃場での発生が認められる場合は結球が始まる前に防除しないと結球部に潜り込まれて薬剤が効きにくくなるなど、被害が大きくなるので注意する。

薬剤(農薬)

ナメルト、ナメクリーン、ナメトックス、ナメキールなどのメタアルデヒド剤。スラゴ(燐酸第二鉄)、グリーンベイト(NAC・メタアルデヒド混合剤、キャベツ、ハクサイ)、ラービンベイト(チオジカルブ剤、キャベツ、ダイコン、ハクサイに登録)、リーフガード・パダンSG水溶剤(キャベツ・ハクサイ)などがある。なお、薬剤を利用する場合は作物にかからないよう注意する。

(竹内浩二)

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 アブラナ科野菜の病害虫

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