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ニホンナシの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

赤星病

Gymnosporangium asiaticum
《病原》糸状菌  《発病》葉、幼果、新梢

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赤星病
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葉の激しい発病(渡辺博幸)

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病斑の葉裏側から突出した毛状体(安田文俊)

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中間宿主となるビャクシン類(カイヅカイブキ)(渡辺博幸)

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カイヅカイブキ上の膨潤前の冬胞子堆(安田文俊)

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橙色でゼリー状に膨潤した冬胞子堆(安田文俊)


被害

主に葉に発生するが、幼果や新梢などにも発生する。はじめ展葉直後の幼葉の葉表に明るい橙黄色の微小な斑点を生じる。病斑はしだいに拡大して直径数mmになり、色が濃くなって中央部に赤黄色の細点を多数生じる。5~6月になると、病斑部が肥厚して葉裏側にやや突出し、特徴的なタワシの毛のようなもの(毛状体)が形成される。後にその先端から粉のようなさび胞子が飛散する。7月以降には病斑は黒褐色になり、病斑が多数形成された葉は早期落葉する。

発生

病原菌はさび病菌の仲間であり、ナシとビャクシン(中間宿主)を交互に宿主とする(異種寄生と呼ぶ)。ナシには春季~夏季に寄生し、さび胞子を形成する。また、ビャクシンには夏季~翌春に越冬寄生し、冬胞子と小生子を形成する。ビャクシン上の冬胞子堆は早春に形成され、成熟すると降雨によって橙色をしたゼリー状に膨潤する。ナシの開花期頃から膨潤した冬胞子堆の表面に小生子が形成され、風雨によって飛散する。ナシの開花期前後に降雨が多く、特に強風をともなった雨の多い年には多発しやすい。ナシとビャクシンとの距離が近いほど発病はより激しくなる。

防除

ナシ園の周辺(1km程度)に伝染源となるビャクシン類を植えないことが重要である。また、ナシの開花はじめ~落花期に薬剤防除を徹底する。なお、この時期に降雨が少ない年は、落花期以降もしばらく小生子が飛散するため、幼果期にも追加防除が必要である。

収録:防除ハンドブック「 ニホンナシの病害虫

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