病害虫・雑草の情報基地

サツマイモの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

軟腐病(なんぷびょう)

Rhizopus stoloniferなど
<病原>糸状菌  <発病>塊根(貯蔵中のみ)

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軟腐病(なんぷびょう)
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発病塊根 ©渡邊健

軟腐病(なんぷびょう)
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病斑上に形成された菌糸と胞子 ©渡邊健

軟腐病(なんぷびょう)
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腐敗は塊根の切り口から始まる ©渡邊健


被害

軟腐病の発病適温は30℃前後で、最初に塊根が暗褐色で水浸状になり、のちに軟化・腐敗する。多湿条件下では、塊根の表面に白色のくもの巣様の菌糸が密生する。腐敗した塊根はアルコール発酵臭を放つ。

発生

軟腐病は糸状菌の一種によって引き起こされる腐敗性の病害である。病原菌は主に塊根の収穫時や出荷時にできた傷口から侵入し、貯蔵中あるいは輸送時に発病する。在圃日数が長く、熟度の進んだ塊根ほど腐敗しやすい。本病は収穫直後の貯蔵初期と気温が高まる4月以降に出荷する塊根に発生が多い。

防除

収穫した塊根をキュアリング庫に積み込み、温度33±2℃、湿度90~95%の条件に設定して4日間程度(約100時間)保つ。キュアリングを行うことで、塊根の傷口や表皮下にコルク層が形成され、各種腐敗性病原菌の侵入を抑制することができる。処理後、速やかに庫内を開放、放熱して温度13~15℃、湿度90%以上の条件下でそのまま貯蔵する。なお、キュアリングには殺菌効果はないので、キュアリング処理以前の塊根に病原菌が侵入した場合は、貯蔵中に腐敗することが多い。したがって、収穫した塊根は、速やかにキュアリングを行うことが大切である。温湿度を管理できるプレハブ等の貯蔵庫が利用できない場合、地面に掘った穴やパイプハウス内で貯蔵することができるが、温湿度の変化を少なくすることが腐敗防止に有効である。

収録:防除ハンドブック「 サツマイモの病害虫

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