病害虫・雑草の情報基地

ネギの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

タネバエ・タマネギバエ

Delia platura (タネバエ)、Delia antiqua(タマネギバエ)
ハエ目ハナバエ科 《加害》茎(軟白部)・根部

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タネバエ・タマネギバエ
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ネギの茎(軟白部)に食入するタネバエの幼虫 ©大井田寛

タネバエ・タマネギバエ
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タネバエ成虫 ©大井田寛

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タネバエ雌成虫頭部(雌の複眼は雄と比較して小さく、左右に大きく離れている) ©大井田寛

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タネバエ雄成虫頭胸部(雄の複眼は雌と比較して大きく、近接している) ©大井田寛

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タネバエ雄成虫頭部(雄の左右の複眼はほぼ接している) ©大井田寛

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タマネギバエ雄成虫頭部(雄の左右の複眼はわずかに離れている) ©大井田寛

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タネバエ幼虫と蛹 ©大井田寛


被害

幼虫が播種後間もない種子に入り子葉や幼根・幼芽を食害すると、種子の腐敗や著しい生育不良が生じる。また、発芽直後の幼苗の地際部に入り胚軸や主根・主茎を食害すると、苗や株は萎凋や腐敗を起こし、枯死することもある。

被害作物

ネギ(ワケネギを含む)、アサツキなどのネギ属作物。

発生

両種とも成虫の体長は5~6mmであり、雄は暗黄褐色~暗褐色、雌は灰色~灰黄色である。成虫は春から秋までいつでもみられ、年5~6回発生する。卵は地際の茎葉部、土壌表層に産みつけられ、孵化幼虫が、腐植質または種子や根部を食害する。幼虫は白色~黄白色のウジで、成熟すると体長は約6mmになる。成熟幼虫は食害した種子や植物から離れ、その近くの土中で蛹(囲蛹)になる。蛹は長径 4~5mm、短径1.5mm程度で、わずかに平たい紡錘形である。タネバエは成虫で、タマネギバエは蛹で夏眠するため、両種とも盛夏には一時密度が減少する。土壌水分が高い条件下では産卵数が多く、幼虫の生存率が高くなる傾向がある。幼虫における両種の見分けは困難であるため、区別の必要がある場合には成虫を用いる。ネギ類では、両種が混発することもある。

防除

殺虫剤のみによる防除は困難であり、多発させない環境を整えることがもっとも重要である。両種の成虫は、未分解の植物残渣や未熟堆肥、ダイズかす、魚かす、鶏ふんなどの有機物の臭いに誘引される。このため、前作の残渣などをほ場にすき込む場合には、後作定植までの期間を十分に確保して分解させる。堆肥を施用する場合には完熟したものを用いる。

収録:防除ハンドブック「 ネギの病害虫

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