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特集

米の品質を下げる「斑点米カメムシ類」Part1

玄米の等級に大きく影響する「斑点米」。 近年、斑点米カメムシ類による被害が増加傾向にあります。 この特集ではPart1,Part2に分け、斑点米カメムシ類の 主要種と防除方法をご紹介します。
斑点米

斑点米について

斑点米はカメムシの吸汁加害によって起こりますが、加害の時期によって被害の度合いが異なります。
吸汁の時期が乳熟後期以降では、玄米は生育不良とはならずに斑点米となり、品質が低下して落等(規格外)の原因になります。
一方、出穂〜乳熟初期の加害では‘シイナ’や‘くず米’となり、米の収量に影響します。
斑点米カメムシ類による加害は古くからありましたが、問題視されるようになったのは米の生産調整が行なわれるようになった1970年以降です。

斑点米 (落等に影響)
斑点米
シイナ くず米 (収量に影響)
シイナ くず米

斑点米カメムシの主要種

斑点米を引き起こすカメムシは65種類もの記録があります。
果樹を加害するカメムシと比べて種類数も多く、地域によって発生する種類が大きく違うのが特徴です。
また現在は多くの地域で、以前は発生が見られなかった種類が問題となるなど、加害するカメムシの優占種が変わってきています。なかでも休耕田と転作牧草の面積の増加などにより、飛翔能力が高く、移動距離の大きいカスミカメ類が増える傾向にあります。

おもな斑点米カメムシ
飛 飛翔して移動する種類 歩 歩行して移動する種類

※写真をクリックすると詳細な解説ページに移動します。

カメムシ科

ミナミアオカメムシ

飛

ミナミアオカメムシ

アオクサカメムシ

飛

アオクサカメムシ
 

トゲシラホシカメムシ

歩

トゲシラホシカメムシ

オオトゲシラホシカメムシ

歩

オオトゲシラホシカメムシ
 

シラホシカメムシ

歩

シラホシカメムシ
ナガカメムシ科

コバネヒョウタンナガカメムシ

歩

コバネヒョウタンナガカメムシ
ヘリカメムシ科

クモヘリカメムシ

飛

クモヘリカメムシ

ホソハリカメムシ

飛

ホソハリカメムシ
カスミカメムシ科

アカヒゲホソミドリカスミカメ

飛

アカヒゲホソミドリカスミカメ

アカスジカスミカメ

飛

アカスジカスミカメ

斑点米被害の出やすい条件

1.夏期に気温が高く雨が少ない

高温少雨の気候条件では、斑点米カメムシ類は行動が活発となります。 また、通常の餌となるイネ科雑草も生育が旺盛となり、カメムシの発生量が増加します。


2.暖冬で越冬量が多い

暖冬によりカメムシ類の越冬量が増加し、 その年のカメムシ発生量が多くなります。


3.水田の周辺に牧草地や休耕田などある

水田周辺にイネ科雑草が多く生育していることで、 斑点米カメムシ類の繁殖地を増やす原因となり、 カメムシの水田内への侵入が容易になります。

休耕田

4.水田雑草の多発

イネよりも前にヒエ類やイヌホタルイは穂を出すため、 カメムシの水田内への移動のきっかけとなります。 その後イネが出穂するので、水田内には餌の量が増えて カメムシの生育・繁殖に適した環境となります。

雑草

5.割れ籾の多発

口器の弱いカメムシ類(カスミカメムシ類など)は、 籾の組織の柔らかい部分でないと吸汁できません。 そのため割れ籾が発生することで、籾に開口部ができ 吸汁が容易となります。 なお、割れ籾が発生しやすい品種や割れ籾が多発しや すい年は、カメムシの加害する期間が長引くことが 知られています。

割れ籾

斑点米カメムシ類の防除方法は こちら
次回Part2では、斑点米の加害部の違いからみた、カメムシの種類の見分け方を特集します。
監修:東京農業大学 客員教授 平井 一男