2015-07-15 最終更新
病徴:
症状は数枚の葉のしおれから始まる.このしおれは徐々にほかの葉に広がっていく.葉柄基部を観察すると,地際部からはじまった飴色腐敗(のちに,濃褐~黒色に変色)がしだいに葉柄上部に広がっていく.最終的にすべての葉柄が基部から脱落・枯死するため,根冠部だけが土中に残る.葉柄を縦切りすると,基部からはじまった変色が維管束上部にまで達している場合が多い.維管束や地際の変色部位を水に浸けると,多量の細菌泥が流出する.畝の端や土地の低い箇所またはビニルハウスの継ぎ目で雨漏りしやすい箇所に発生しやすい.秋以降でも発生する点および飴色腐敗や変色が及ぶのは維管束部が中心であり,髄部や表皮も含めた全体が腐敗するのは葉柄基部付近に限られる点で,高温期に発生し葉柄全体が腐敗する軟腐病とは異なる.
病原:
Pseudomonas marginalis(Brown 1918)Stevens 1925
グラム陰性の桿菌.OFテストはO+.運動性を有し,キングB培地上で蛍光性色素を産生する.オキシダーゼ活性,アルギニン加水分解活性,ゼラチン液化,カゼイン加水分解,グルコース・シュクロース・トレハロースの利用性は陽性であるが,タバコ過敏感反応,硝酸還元,エリスリトール・イノシトール・ソルビトールの利用性は陰性である.レバン産生能は菌株によって異なる.ジャガイモ腐敗能を有するが,軟腐病菌よりも腐敗速度が遅く激しい腐敗臭は生じない.症状の再現には,付傷に加えて長期間多湿条件下にあることが必要なことから,腐生的な性格が強いと考えられる.
伝染:
地表および土壌中に残った罹病植物の残渣が次作の伝染源になると考えられる.
(2011.11.30 外側正之)