2015-07-15 最終更新
病徴:
晩秋の11~12月にかけて,葉の両面に菌糸と分生子柄,分生子からなる0.3~2cmの明瞭で白色の不整形病斑を生じ,葉裏面では黄変する.病斑上には白色の菌叢が形成され,他の病害と容易に区別できる.
病原:
Oidium属Pseudoidium亜属の一種
子のう菌類である.病斑上の菌糸に形成される付着器は拳状,分生子は円筒形から長楕円形,大きさは30~40×9.5~15.5μmである.分生子細胞内にフィブロシン体を欠き,24時間に1つの分生子を単生する.タマネギ鱗片上で形成させた発芽管はポリゴニー(Polygoni)タイプである.野外および接種試験における完全世代は確認されていない.
伝染:
うどんこ病菌,特に不完全世代は,腐生生活を送ることができない絶対寄生性と,葉組織表面にコロニーを形成するという生態的特徴から落葉上で越冬することが難しく,本病原菌は完全世代が確認されていないことなどから,分生子が宿主の冬芽などで越冬し,翌年の感染源になると考えられる.なおrDNA ITS塩基配列の解析結果から,北米のユリノキで発生するErysiphe liriodendri Schweinitzの不完全世代であると考えられるが,完全世代は確認されていない.
(2012.1.31 中島千晴)