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メロン果実内腐敗病

かじつないふはいびょう

Internal fruit rot

2015-07-15 最終更新

病徴:
本病害の病徴はメロン果実内部の腐敗のみで,葉や茎などにおける病徴は確認されていない.果実内部の腐敗症状は胎座を中心に果肉部位まで広がり,その果肉組織は淡い茶褐色の水浸状になる.ただし,腐敗といっても,果肉がとけることはなく,品種によって多少変色の程度が異なることがある.メロンには発酵果やうるみ果といった本病徴に類似した生理障害があるが,本病を発症した果肉は酸味を帯びた刺激的な悪臭を伴う点,糖度が低く食味も苦い点で大きく異なる.

病原:
Pantoea ananatis(Serrano 1928)Mergaert,Verdonck & Kersters 1993
〔異名Erwinia ananas Serrano 1928〕
グラム陰性,通性嫌気性細菌の一種である.YP寒天培地上で培養1~2日後には黄色で半透明感のある径1mm程度の円径集落を形成する.細菌学的性状の特徴は,OFテストで発酵型(F型)を示し,硝酸塩還元,フェニルアラニンデアミナーゼ,硫化水素産出テストにおいて陰性を示すが,インドール産生テストでは陽性を示す.接種試験ではスイカ,マクワウリ,シロウリ,ハネデューメロンに病原性を示すが,これらの植物における圃場での発病は確認されていない.

伝染:
ヒラズハナアザミウマによるメロン花器への虫媒伝搬の可能性,花器における生息,交配後の子房の花取り作業により生じた花器跡の傷口からの果実内部への侵入・感染(特殊な花器感染)が考えられる.

(2011.12.9   木戸一孝)

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