2015-12-15 最終更新
病徴:
台木育成の苗床で発生する.本病は、病気を確認した千葉県では通常5月上旬に発生し,最盛期は6月下旬で,終期は7月中旬である.一部の葉が葉縁から褐変枯死する.激しく発生した苗では,地上部全体が枯死することが多い.発病部を詳細に観察すると,白~灰白色の気中菌糸が認められるのもまれではない.発病株は集中しており,育成床の各所で発生し,その部分は坪状に枯死する.発病は,最初実生の成長に伴って老化したり枯死した子葉で発生し,その後上位葉や新梢に拡大するので,最後には地下部を残して枯死し,黒褐色に変色する.
病原菌:
Botrytis cinerea Persoon:Fries
糸状不完全菌類に属し,分生子と菌核を生ずる.分生子は無色~淡黄色,楕円~卵形で,大きさは8~14×7~9μmである。菌核は不定形である.菌糸は0℃と35℃では成育は認められず,5~30℃で成育し,その成育適温は23℃前後である.多犯性で,トマトやキュウリなど多くの野菜類,果樹類,花卉類を侵す.
伝染:
資材に付着している分生子,圃場の土壌内にあった菌核,または野外から分散してきた分生子などが伝染源として考えられる.そして,二次伝染は病斑上に形成された分生子によって行われる.苗床はポリエチレンフィルムなどでトンネル被覆されているため,トンネル内は夜温が外気温に比べて高く保たれると共に高湿度状態となり,このことが本病発生を助長していると判断される.
参考:
http://ci.nii.ac.jp/nrid/9000010772628
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002732823
(2011.10.7 梅本清作)