2015-07-15 最終更新
病徴:
新葉を含めた上位葉が葉表を内側に巻き,葉裏の葉脈が隆起する.また,抽だい期においては節間が短縮し株全体が萎縮する.開花時期に発病した場合は,花弁も筋が浮き上がったような奇形を呈し,商品価値はなくなる.また,上位葉に退緑が認められる場合もある.
病原:
トマト黄化葉巻ウイルス Tomato yellow leaf curl virus(TYLCV)
粒子形態は約20×30nm の双球状で,タバココナジラミによる虫媒伝染(永続伝搬)をし,土壌伝染,種子伝染および汁液伝染はしない.感染植物はトルコギキョウのほか,トマト,ミニトマトが主で,ウシハコベ,エノキグサ,ノゲシ,ハコベ,センナリホウズキ,ホソバツルノゲイトウ,タカサブロウ,ノボロギクなどの雑草も自然感染することが明らかとなっている.しかしトルコギキョウ,トマト,ミニトマト以外の感染雑草については,伝染源としての重要性は低いものと考えられる.
伝染:
本ウイルスはタバココナジラミにより媒介される.タバココナジラミの幼虫および成虫が感染植物を吸汁することで本ウイルスを獲得し,その後,半日ほどで媒介能力をもつようになり,伝搬は永続的に繰り返される.トルコギキョウにおける潜伏期間は約30日である.
タバココナジラミの生態については,トルコギキョウでは未解明な点もあるが,概ねトマトでの生態と類似する点が多く,野外での本虫の生息時期である4~11月にかけて,本病の発病が認められる場合が多い.本病はタバココナジラミにより媒介されるため,九州など西南暖地では,本虫の野外生息時期である4~10月にかけて一次感染が起こりやすくなる.特に7~9月に生息密度が高まるため,この時期に育苗を行う作型については特に注意が必要である.
参考:
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002752370
(2011.11.28 内川敬介)