2015-07-15 最終更新
病徴:
発病初期は頂葉の軽い黄化と葉巻がみられ,しだいに上位葉の葉縁および葉脈間が黄化し,明瞭な葉巻,縮葉,小葉化,節間短縮の症状へと進む.病徴発現した節位から上は茎葉全体が黄化し,著しく生育が抑制される.発病株では開花しないか,開花しても不稔になることが多い.生育初期に感染した場合,株全体が萎縮する.
病原:
トマト黄化葉巻ウイルス Tomato yellow leaf curl virus(TYLCV)
TYLCVは,Geminiviridae科Begomovirus属に分類されるウイルスであり,日本では1996年に初確認された.ウイルス粒子は約20×30nmの双球状で,師部細胞の核内に存在する.TYLCVにはいくつかの系統が存在し,大きくはイスラエル系統とマイルド系統に大別される.トマト,ミニトマト,トルコギキョウに自然感染する.タバココナジラミによる接種試験では,Nicotiana benthamiana, チョウセンアサガオ,ペチュニア,ピーマン,ジャガイモ,インゲンマメへの感染が確認されている.
伝染:
タバココナジラミにより永続的に媒介される.タバココナジラミバイオタイプB,バイオタイプQともに獲得吸汁後,数時間~1日以内で媒介能力を発揮する.TYLCVは汁液伝染,種子伝染,土壌伝染はしない.栽培施設周辺の野良生えトマトや家庭菜園の無防除トマトは,ウイルスの伝染源になる.
参考:
http://www.ctahr.hawaii.edu/oc/freepubs/pdf/PD-70.pdf
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/naro-se/tomato_yellow_leaf_manual_h215.pdf
(2011.12.11 大貫正俊)