2015-07-15 最終更新
病徴:
おもに葉に発生するが,発病後期には葉柄,茎および莢にも発生することがある.最初,葉の表裏両面に直径数mm程度の白粉状の斑点を生じ,のちしだいに融合して葉全体が白粉におおわれる.病斑部は古くなると白色粉状物が消失し,葉裏面に小型の褐色壊死斑を多数生じる.このような葉はやがて萎凋,黄変し,早期に落葉する.
病原:
(1) Erysiphe diffusa(Cooke & Peck)U.Braun & S.Takam.
(2) Erysiphe glycines F.L.Tai
子のう菌類に属す.両種とも菌糸は葉や茎の表面上に分岐しながら表生し,そのところどころに付着器と分生子柄を形成する.付着器はこぶし状.分生子柄は菌糸から垂直に立ち上がり,通常3細胞からなる.分生子は分生子柄の先端部に通常1個形成され,無色,単細胞,たる型~楕円形,明瞭なフィブロシン体を欠く.分生子の端部から発芽し,発芽管の先端部にこぶし状に膨らんだ付着器(Pseudoidium型)を形成する.
伝染:
E.diffusaによるダイズうどんこ病は1998年に九州で初発し,その後数年で日本全国に発生が拡大した.病原菌の原産地は北米で,何らかのルートで日本に侵入したと考えられる.北米では閉子のう殻(有性世代)を形成するが,日本では今のところ閉子のう殻形成は確認されていない.現在,野外圃場に発生するダイズうどんこ病は大部分が本菌によると考えられる.E.glycinesによる発病は1980年に東京ではじめて記録されたが,その後の発生はまれである.
参考:
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001784496
(2012.1.19 高松進)