2015-07-15 最終更新
病徴:
葉に発病する.葉にモザイク症状を呈するほかに,直径5mm程度の円形~小判形で黒色のえそ斑や葉縁からのV字形~U字形の枯れ込みなど数種の症状を生じる.苗の時期に発生すると下位葉に明瞭なモザイク症状が現れる.発病葉はいずれも黄化し,慢性的にしおれるが,枯死,落葉することはきわめてまれである.また,上位葉での発症や,株全体が枯死することはほとんどなく,花蕾形成や開花は正常に行われる.
病原:
トマト黄化えそウイルス Tomato spotted wilt virus(TSWV)
外被膜をもつ直径70~90nmの大型球状粒子でTospovirus属に属する.不活化温度は40~46℃(10分),希釈限界は2×10-2~10-3,保存限度は2~5時間.宿主範囲は非常に広くナス科,キク科,アカザ科,マメ科等に感染する.オランダミミナグサ,コハコベ,オオイヌノフグリ,イヌホオズキ等の雑草への感染も知られている.
伝染:
ウイルスは不安定であるが汁液接種により伝染するため,管理作業によって伝染する可能性がある.ミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマなどのアザミウマ類によって永続伝搬(増殖・循環型)し,特にミカンキイロアザミウマの媒介能力が高い.種子伝染および土壌伝染はしない.1997~1998年ごろに東京都,2002年には長崎県で発生の報告がある.
(2011.10.22 河野敏郎)