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ゴヨウマツ類かさぶたがんしゅ病

scab canker

2015-11-10 最終更新

病徴:
主軸や枝の当年~1年生の部位に感染して発生する.菌糸が侵入した皮層組織に壊死部が生じ,その下に傷害周皮が形成されることで患部が膨れる.数年にわたって年数mm程度の患部の拡大と新たな傷害周皮形成を繰り返し,こぶ状あるいはひび割れることでがんしゅ状を呈する.枝や稚樹の枯死を引き起こす.

病原:
Scolecostigmina chibaensis C.Nakashima,Tak.Kobayashi & Tosh.Yamada
糸状不完全菌類に属す.子座はないか小型で径2~13μm.分生子柄は長さ30~60μm,幅4~8μmで,褐色の大型細胞あるいは子座の上部から形成され,単生あるいは叢生で隔壁をもつ.分生子柄には環紋が生じ,アネロ型に分生子を単生する.分生子は棍棒状,厚壁,表面いぼ状,先端鈍頭,黒褐色~褐色,長さ65~136μm,幅9~13μmで5~13の隔壁がある.PDA培地上の菌叢は黒色~黒褐色で,成長はきわめて遅い.ヒメコマツ,キタゴヨウ,ストローブマツほかの国内外産のゴヨウマツ類に発生する.

伝染:
分生子によって伝染する.生枝あるいは枯死枝の患部内で生存し,患部上に形成された分生子が飛散する.分生子の形成,飛散はおもに5,6月で,飛散は降雨時に多い.伝染距離はごく短く,ほとんどが罹病木樹冠下に限られる.少数の分生子は年中認められるが,8月から4月の間はほとんど飛散しない.

参考:
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004702627
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004702628

(2011.11.25 山田利博)

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ゴヨウマツ類かさぶたがんしゅ病.ヒメコマツ幹の激害病徴(山田利博)

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ゴヨウマツ類かさぶたがんしゅ病.ヒメコマツ枝の病徴(山田利博)

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ゴヨウマツ類かさぶたがんしゅ病菌.発芽した分生子(山田利博)