2015-07-15 最終更新
病徴:
融雪後3月下旬頃から発生が見られる.葉に白色の比較的大きな病斑を形成する.病斑はある程度拡大するとその後急激に黄化する.とくに養成株では被害が著しく,早期に枯死する.しかし,病勢が進行しても葉鞘,鱗茎および根での発生は見られない.
病原:
Phytophthora porri Foister
卵菌類に属す.培養菌叢を15℃下で水浸すると容易に遊走子のうおよび有性器官を形成する.遊走子のうの大きさは長さが33.3~69.7(平均46.8)μm,幅が25.0~46.8μmである.造卵器は直径が28.1~43.7(平均35.4)μmで,造精器は側着性である.卵胞子は26.0~40.6(平均33.2)μmで壁は厚い.有性器官は罹病組織内で多数認められる.本病菌は低温性の疫病菌で,15~20℃に生育適温がある.接種でタマネギのほか,ネギ,ニラに対して強い病原性が認められ,さらにニンニク,ヒアシンスおよびチューリップの葉に対しても病原性が認められる.
伝染:
病原菌は地表面または土壌中で罹病植物とともに生存し,伝染源となる.降雨で発病,まん延しやすく,遊走子のうから放出される遊走子が水中を泳いで分散して伝染する.
(2011.11.29 向畠博行)