2015-07-15 最終更新
病徴:
初期症状として蕾の総苞部分に小さな褐変がみられる.その後,腐敗が蕾内に進み花芯部分が褐色になり,蕾が腐敗する.腐敗が花首まで達すると花首が折れ曲がる.さらに進展すると花首から茎へと腐敗が進む.腐敗まで至らない発病でも開花すると花形が乱れたり,赤系の品種では花弁の色がのらない場合がある.
病原:
Pseudomonas viridiflava Dowson
細菌の一種で,グラム陰性で好気性の極毛を有する桿菌である.グルコースを酸化的に分解し黄緑色蛍光色素を産生する.レバン産生,オキシターゼ活性,アルギニン加水分解は陰性で,ジャガイモ塊茎腐敗,タバコ過敏感反応は陽性である.本菌はクリサンセマム・パルドサム,ディーフェンバキア,ベニバナ,キャベツ,キュウリ,トマト,レタスなどにも病害を引き起こす多犯性の細菌である.発病適温は15℃前後と低い.
伝染:
病原細菌は罹病残渣中で生存し第一次伝染源となり,風雨によって飛散し伝搬すると予想される.本細菌は日和見的な菌で植物体が弱ったときや,傷が付いたときなどに感染すると考えられる.特に,2~3月に出荷される露地栽培スプレーギクに多く発生し,感染の多くは蕾肥大期の総苞部分に集中する.そのため,蕾肥大期に降雨があると多発につながる.まれに,同時期のハウス栽培でも発病がみられており,その場合は被覆資材からの水が落ちる株に発生しやすい.本症状は,舞風車,リーゼ,プリンスなどのスプレーギク品種で発生し,寒姫,みやびなどの小菊品種や秀芳の力などの輪菊品種ではみられていない.
参考:
http://9byochu.ac.affrc.go.jp/pdf49/49ronbun13.pdf
(2011.11.11尾松直志)