2015-07-15 最終更新
病徴:
葉身の基部に発生した浸潤性の斑紋は,黒褐変しながら急激に拡大して葉先まで至り,激しい場合は罹病株は枯死する.
病原:
Enterobacter cloacae(Jordan 1890)Hormaeche & Edwards 1960
本細菌はグラム陽性,約0.6×1.3μmで周毛性桿菌,最適生育温度は37℃前後で腸内細菌科に属する.PSAやKBM培地上では,光沢があり,なめらかなクリミィーホワイト色のコロニーを形成する.40℃でも生育し,PSA培地でガスを生成する.本細菌を有傷接種したラン科植物を35℃前後の湿室・暗黒条件で2日間静置した場合,オドンティオダ以外に,ミルトニア,エビネ,ツルラン,ホシケイラン,サギソウなどのラン科植物に感染するが,シンビジウム,カンラン,カトレア,デンドロビウム,フウラン,ファレノプシスおよびパフィオペディルムには感染が認められない.
伝染:
本病は,動物の糞尿等に汚染した用水などを灌水に用い,35℃以上の高温・多湿,遮光環境など,特殊な条件が重なった栽培環境下で発生する日和見感染性の細菌病である. 水が溜まりやすい筒状になった葉身の基部から感染し,全身に広がる.
参考:
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007723102
(2011.11.3 髙橋義行)