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オオムギ灰色かび病

はいいろかびびょう

Gray mold

2015-07-15 最終更新

病徴:
圃場全体では散発的に発生が認められ,発病穂率は多くても23%である.また,1穂あたりの発病粒は13粒程度である.罹病粒ははじめ灰白色~淡褐色で,進展すると茶褐色を呈する.発病の著しいものは粒の頂部付近に灰色のかびを生じる.茎葉や葉鞘部での発病は認められない.

病原:
Botrytis cinerea Persoon:Fries
糸状不完全菌類に属す.分生子柄は褐色~淡褐色で,上方で分岐し,先端部には多数の分生子が形成される.分生子は単細胞で,楕円形~倒卵形,わずかに着色し,20℃培養での大きさは,長径9.417.7μm,短径6.210.4μmである.分生子の表面は微小ないぼ状構造でおおわれている.菌糸は23℃付近で最も伸長する.PDA培地上における生育は旺盛で,はじめ粗な綿毛状で白色の菌叢はしだいに灰色に変化し,のちに黒色で不整形な菌核を生じる.菌核の大きさは変化に富んでおり,長径は19mmである.Botrytis cinereaはきわめて多くの植物に寄生性を有し,2450種の植物に寄生するとされているが,イネ科植物においての発生の記録は少なく,わが国ではこれまでにライグラス類での発生が報告されているのみである.

伝染:
分生子の飛散により伝染する.比較的低い気温の経過で小穂の開花期間が長くなることで開花中の小穂への本菌の侵入が容易になると考えられる.降雨で発病,まん延しやすい.

2011.11.29 向畠博行)

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オオムギ灰色かび病.1穂あたり1,2粒発生することが多い(向畠博行)

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9-2オオムギ灰色かび病.病粒上に菌体(菌糸と分生子)を形成(向畠博行)