2015-07-15 最終更新
病徴:
葉に0.5~1mm大の黒色小点(子のう殻子座)を散生~密生する.子座の周りは黄褐色~赤橙色に変色し,のちたがいに融合しながら褐色~灰褐色の不規則葉枯れ状病斑を形成する.
本病は1902年にインドネシアからアオイ属の1種の黒やに病として記録されたもので,その後アジア・大洋州・中南米・アフリカなど世界の亜熱帯地域からオオハマボウ上に記録されている.日本では南西諸島のうち波照間島,沖縄本島,与論島,奄美大島での発生記録がある.
病原:
Phyllachora minuta Hennings
子のう菌類に属す.子のう殻は子座中に埋生,偏球形,260~650μm,高さ250~420μm.殻壁の厚さは30~50μmで,外層は炭質,厚壁,不規則の細胞よりなり内層は平行菌糸構造,外から内へしだいに無色になる.頂部には子座外表に開口する孔口があり,孔口内部には周糸がある.子のうは棍棒状,膜は一重,短柄を有し,頂部はメルツァー試薬に反応せず(J-),8胞子を準1列~不整2列に含み,67~95×14~17.5μm(平均79.5×16.3μm).子のう胞子は単細胞,無色,楕円形~紡錘形,やや厚壁,表面平滑,15~20×9~10μm(平均17.1×9.6μm).
伝染:
Phyllachora属菌はまだ世界で培養の記録がない.子のう胞子が風雨で飛散するものと考えられている.
(2012.4.5 小林享夫)