2015-07-15 最終更新
病徴:
枝に径約1~2mmの小さなこぶが形成され,それが一箇所で数を増して直径約1~3cmの集塊になることが多い.集塊は指でつぶすと小さなこぶに砕けやすい.集塊付近から分枝している小枝は枯死し,集塊が多い枝は衰弱する.集塊は側枝に多くみられるが幹にもみられる.元来エノキの幹には隆起したこぶができやすいが,本病による小さなこぶと集塊はそれとは異なる.
病原:
Pseudomonas syringae van Hall 1902
半透明,円形のコロニーを形成する細菌である.蛍光性黄緑色色素を産生し,L-アラビノース,D-キシロース,D-ソルビトール,マンニトール,グリセリン,L-アルギニン,マロン酸,乳酸,D-酒石酸を利用し,ゼラチンを液化するなど,沖縄で発生するウラジロエノキ(Trema orientalis)こぶ病菌P.syringae pv.tremaeとは異なる.また,P.syringaeのⅢ群菌(pv.syringaeが含まれる)検出用プライマー(Inoue & Takikawa 2003)を用いてPCRを行うと,本細菌では特異的な増幅が認められるが,pv.tremaeでは認められない.pathovarは未定である.
伝染:
本病は関東および中国地方でみられるが,病原菌の生態は明らかでない.
(2011.11.30 畔上耕児)