病害虫・雑草の情報基地

最新情報 植物病害

センチピードグラスダラースポット病

Dollar spot

2015-11-10 最終更新

病徴:
6~10月に発生するが,盛夏には病斑は消失する.栃木県那須塩原市でのみ発生が確認されている.はじめは直径1cm程度の小型パッチだが,病勢が進展するにつれ,楕円形,灰色で直径15cm程度の大型病斑となり,のちに周辺の芝地は裸地化する.パッチ部分の葉身先端には,中央部灰色,周縁部が明瞭な淡褐色となる病斑を生じる.病異名は「灰斑病」.

病原:
Sclerotinia homoeocarpa Bennett
子のう菌類に属す.PDA培地上で気中菌糸を豊富に形成する灰白色の菌叢を形成する.菌叢はのちに黄褐色~褐色となり,表面に黒色の板状菌核を形成し,菌叢全体が黒味を帯びる.菌糸は無色,幅5~7μmで明瞭な隔壁をもち,分岐した先端は細かく分枝する.分生子は形成せず,有性世代は我が国では認められていない.Sclerotinia属に属さないとの意見もある.菌糸生育適温は25~28℃である.本菌はベントグラスのダラースポット病菌と同一と考えられる.

伝染:
被害植物の残渣上で菌糸または菌核の形で越年し,翌年の伝染源となると推定される.また,朝露が降りる時にくもの巣状の菌糸が病斑上に多数形成され,温暖湿潤条件でまん延すると考えられる.芝刈機により植物体に傷が付き,発生が拡大することがある.

参考:
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nilgs/diseases/contents/d25.htm#ダラースポット病
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2003/nilgs03-47.html

(2013.2.13 月星隆雄)

植物病名データベースへのリンク

写真をクリックすると拡大します

閉じる

センチピードグラスダラースポット病(接種)(月星隆雄)

閉じる

センチピードグラスダラースポット病菌.菌糸(月星隆雄)