2015-11-10 最終更新
病徴:
枝,幹に発生する.枝の枯死は年中見られるが,最も顕著なのは5~6月.ただし,葉の萎凋は4月以前にすでにはじまっている.最初,細い枝の枯死が見られ,その規模は年とともに徐々に拡大する.枝の枯死後,葉は褐変し,枝の健全部と罹病部の間が若干肥大する.完全に枯死した後,樹皮が剥がれ,黒色の子座が見えるようになってくる.枯死した枝上でも子座は長期間残存するが,胞子は一年間のうちに消失する.
病原:
Diatrype sp.
子のう菌類のシトネタケ科(Diatrypaceae)に属する.枝表面に子座を形成する.子座は樹皮組織と明瞭に区別できる.盾状~不定形,大きさは長径2cm以上,厚さ300~500μm.子のう殻は子座に埋没して形成され,孔口はわずかに突出し,大きさ150~250×100~180μm.子のうは棍棒状で8胞子性,大きさ30~40×3~5μm,子のう胞子は単細胞,明褐色,ソーセージ形で,大きさ5.5~10×1.5~2μm.菌叢は麦芽エキス寒天培地上では白色,気中菌糸を有し,25℃暗黒条件下で生育速度は3~5 mm/日.分生子は未確認.
伝染:
枯死枝上に形成された子座で生産される子のう胞子で分散すると考えられる.感染経路は十分には解明されていないが,剪定箇所等の傷口からの感染が最も可能性が高い.
参考:
http://ci.nii.ac.jp/naid/40015964930
(2012.2.1 升屋勇人)