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レタスヒゲナガアブラムシ

Nasonovia ribisnigri (Mosley)

英名:currant-lettuce aphid,lettuce aphid

ヨコバイ目アブラムシ科

2015-07-15 最終更新

2010年,名古屋,神戸,門司の各植物防疫所における輸出用レタス(サラダナを含む)の検査で本種の寄生が相次いで認められ,現地調査の結果,長野県,香川県,福岡県下で発生が確認された.ヨーロッパ原産とされ,中央アジア,南北アメリカに分布するほか,最近はニュージーランド,オーストラリアにも分布を広げた.

形態:
無翅胎生雌虫は紡錘形で体長約1.5~3mm,淡黄緑色ないし緑色,または淡赤褐色を呈する.腹部各節背面に中央で途切れた帯状の暗色斑がある.触角は明瞭な触角瘤より生じ,体とほぼ同長またはやや長い.鞭状部は淡色で,各節の末端部は黒ずみ,第3節は基部寄りに5~18個の二次感覚板を有する.角状管は細長い円筒形で膨らみは無く,体長の約1/5~1/4,淡色で末端が黒ずむか,ときに全体が黒色.尾片は淡色で細長い舌状,7本前後の刺毛を有する.

加害作物:
【野菜】レタス

被害と生態:
本種はスグリ属を一次寄主とし,アキノノゲシ属やキクニガナ属などのキク科植物を好んで二次寄主とするが,ゴマノハグサ科やナス科の植物からも記録されている.季節的に寄主転換するほか,温暖な環境条件下では二次寄主上で周年単為生殖を繰り返す.本邦ではレタス,リーフレタス,サラダナでの発生が確認されている.結球性のレタスでは結球した葉の内部に寄生し,リーフレタスなど非結球性のものでも内部の葉や,葉のひだ状の部分を好んで寄生するので,発生に気づきにくく,防除が困難となりやすい.レタスモザイクウイルスなどのウイルス病の媒介虫として知られている.
(2011.10.10 宮崎昌久)

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レタスに寄生したレタスヒゲナガアブラムシ無翅胎生雌虫(植物防疫所提供)

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レタスヒゲナガアブラムシ無翅胎生雌虫(植物防疫所提供)