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ランツボミタマバエ

Contarinia maculipennis Felt

英名:blossom midge

ハエ目タマバエ科

2015-07-15 最終更新

1989年に沖縄県で最初に確認された東南アジア原産の侵入害虫で,洋ランの一種であるデンファレなどの蕾を加害する.
これまで,三重県,福岡県,宮崎県,沖縄県のデンファレ栽培施設での被害が報告されている.また,沖縄県では露地圃場のニガウリや鉢植えのジャスミンなど,周辺の寄主植物への寄生が確認されている.タマバエ科には珍しく広食性の種であることや,強い薬剤抵抗性をもつ個体もいることから,施設外での定着や発生に注意が必要である.

形態:
成虫の体長(翅長)は約2mm.翅や脚にまだら状に鱗片をもつ.終齢幼虫の体長は2mmで,若齢(1~2齢)は乳白色,終齢(3齢)は黄色,タマバエ科に特有の胸骨は2又に分かれている.腹部末端には突起状の構造があり,その突起を利用して大きくジャンプすることがある.

加害作物:
【畑作物】ジャガイモ.
【野菜】トウガラシ,トマト,ニガウリ,ナス,ピーマン.
【花卉】クロッサンドラ,ジャスミン,デンファレ,ハイビスカス,プセウドランテマム,プルメリア.
ほかにパクチョイの加害記録があるが,確認されていない.

被害と生態:
寄主植物の花蕾に寄生する.雌成虫は細長い産卵管を若い花蕾内に挿入し産卵する.幼虫は蕾の内部で孵化・発育する.その際,摂食刺激により植物組織を加害するため,花弁が水浸状になる.加害された蕾は落下するか,開花しても花弁が傷ついているため,商品価値がなくなる.とくに,デンファレの場合,1本の花梗に複数の蕾をつけるが,そのうち一つでも傷があると,その花梗が出荷できなくなるため被害は大きい.休眠性は持たず,気温が高く利用可能な蕾があれば通年の発生が可能である.蕾内で発育した幼虫は成熟すると地上に脱出し,繭を作って蛹化する.
(2011.12.23 上地奈美)

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ランツボミタマバエ雄成虫(上地奈美)

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ランツボミタマバエ幼虫(上地奈美)

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被害蕾(デンファレ)(河村太)