2015-07-15 最終更新
日本全土に分布し,森林害虫として知られていたが,2010年に岐阜県で初めてナシ樹幹への被害が確認された.
形態:
成虫の体長は雄で約3.5mm,雌で約4.0mm,細長い円筒形をしている.光沢のある黄褐色ないし赤褐色で,上翅の後方は暗褐色となる.
加害作物:
【果樹】ナシ
被害と生態:
日本全土に分布し,各種の広葉樹に穿孔するほか,針葉樹のモミからの発生も記録されている.年1世代で成虫は6~9月に出現し,卵,幼虫,成虫の各態で越冬する.成虫は樹皮を通り,樹の中心に向かって細かい木屑を出しながら穿孔し,産卵する.本種は養菌性キクイムシ類(アンブロシアキクイムシ類)の1種であり,幼虫は母孔から短い孔を縦横に掘り,この中で菌を培養,摂食し発育する.老熟するとその先端で蛹化する.
本種はナシを加害する他の養菌性キクイムシ類と同様に,病害や高樹齢などの原因で樹勢の衰えた樹の主枝や樹幹を中心に穿孔し,被害を与える.加害された樹はさらに樹勢低下が進行するものの,枯死に至った例は確認していない.
(2011.10.24 渡辺博幸)