2015-07-15 最終更新
中東から日本に至るアジアの熱帯~亜熱帯気候域に広く分布し,南北アメリカ大陸各地にも侵入している.国内では奄美大島以南の南西諸島に広く土着分布するが,2002年に屋久島で,2006年には鹿児島県指宿市で発生が確認された.カンキツグリーニング病は,奄美群島喜界島以南の南西諸島で発生している.
形態:
成虫の全長(翅端まで)は約3mm.前翅に特徴的なまだら状の褐色斑紋をもつ.幼虫は全長約2mmの楕円形,黄~黄緑色で節片は褐色で尾部から太い糸状のロウ質物を分泌する.卵は黄色の紡錘形.
加害作物:
【果樹】カンキツ
【庭木】ゲッキツ
被害と生態:
成虫,幼虫ともにカンキツやゲッキツの葉や茎から吸汁する.幼虫が高密度に寄生すると,排泄された甘露によってすす病の被害が生じる.また,カンキツ類の重要病害であるカンキツグリーニング病を媒介し,幼虫が感染樹上で吸汁した場合には永続的に強い媒介力をもつ.休眠性をもたず,年間を通して発生を繰り返す.産卵は新芽や花蕾等の柔らかい部位に行われ,卵の基部の柄が植物体の表皮に差し込まれて固定される.若齢幼虫は新芽・新葉等の柔らかい部位に寄生するが,老熟幼虫は硬化した枝部でも吸汁する.成虫は葉裏の主脈や葉柄,当年枝などに定位することが多い.
(2011.10.28 井上広光)