2015-07-15 最終更新
日本では2007年までは成虫が時折採集されることがあったが,幼虫の発生や作物への被害の記録はなかった.ところが,2008年8月中旬から9月にかけて,北海道の石狩・空知・後志・上川・留萌・網走・宗谷支庁管内で,本種の幼虫が多種類の作物を加害している事例が多数確認された.本種は,ヨーロッパからロシア,中国,アメリカ,カナダなどの広域に分布する移動性の害虫で,さまざまな種類の作物に被害を与えることが報告されている.
形態:
成虫の開張は約23 mm,翅は全体的に茶褐色で,前翅外縁部に沿って縦長の黄色い斑紋がある.幼虫は老熟すると体長約30mmになり,頭部は黒褐色,胴部は黒色で,胴部側方には乳白色の幅広い帯をもつ.体が淡色の幼虫も少数ながら見つかる.
加害作物:
【畑作物】アズキ,ダイズ.
【野菜】カボチャ,ニンジン,ピーマン.
【特用作物】テンサイ.
【牧草・飼料作物】チモシー,トウモロコシ,マメ科牧草.
被害と生態:
ダイズでは,幼虫は葉脈部を残して葉肉部を食べるので,加害された植物体は遠目には白く見える.
(2011.9.5 吉松慎一)