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ハタクロユスリカ(仮称)

Smittia akanduodecima Sasa & Kamimura

ハエ目ユスリカ科

2015-07-15 最終更新

1967年に十勝地方の各種豆類の稚苗にエリユスリカ亜科の幼虫数種が大発生したが,この優占種はビロウドエリユスリカ S.aterrima(Meigen) だったようである.英国では Smittia 属の種類は,ムギ類・トウモロコシなどの発芽時害虫として知られている.

形態:
老熟幼虫は淡褐色,体長は約3mm,太さ0.3mmと細長い.頭殻に眼点があり,前胸と尾端にイボ状の突起(偽脚)がある.成虫は全身ほぼ黒色で,体長は2mmほど.

加害作物:

【畑作物】アズキ,インゲンマメ

被害と生態:
多数の幼虫が,土中で発芽中の初生葉を食害することで,重症では欠株となる.インゲンマメでは子葉の種皮下および子葉間の初生葉に幼虫が見られ,アズキも初生葉が食害される.欠株状況からはタネバエの被害と混同されやすい.幼虫の多発は有機物の多用と土壌過湿が関係するようで,テンサイ茎葉を春期にすきこんだ圃場の滞水部,および希釈豚尿を大量に施用した圃場に被害が見られた.雌成虫は有機物の分解臭などに誘引されて産卵するものと推定される.成虫は早春から見られ,多化性で蛹(あるいは終齢幼虫)越冬と思われるが,生態の詳細は不明である.
(2011.10.20 鳥倉英徳)

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ハタクロユスリカ類幼虫とインゲンマメの初生葉被害(鳥倉英徳)

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ハタクロユスリカ類終齢幼虫(鳥倉英徳)