2015-07-15 最終更新
ハルニレの葉の葉巻き状虫えいに住む Eriosoma 属4種のうちの1種で,2000年ころから北海道のイチゴ根に寄生が認められている.北海道,九州,韓国に分布するが,本州からの記録はない.ハルニレワタムシという異名がある。
形態:
有翅の産性虫(イチゴ根には10月上旬ころに出現)は体長1.5mmほどで,角状管は環状,二次感覚板は線状で第3節に17個前後ある.腹部ロウ腺は大きく,20~30個のセル(腺面)よりなることが特徴である.(九州のイチゴ根に寄生するアキニレハマキワタムシ E. yangi yangi の産性虫では,第3節の二次感覚板は13~16個,腹部ロウ腺のセル数は5~15個である)
加害作物:
【野菜】イチゴ
被害と生態:
10月上旬にイチゴ根に現れる.白色のワックスをつけた淡褐色のネアブラムシがコロニーで寄生する.寄生された苗の8月における生育はやや不良だったが,定植後は良好となった.本種は一次寄主のハルニレに葉巻型虫えいを作る.二次寄主はバラ科草本で,ダイコンソウ,キンミズヒキなどの根から得られている.
九州のイチゴには,同属のE.yangi Takahashiが寄生する.
(2011.10.20 鳥倉英徳)