2015-07-15 最終更新
日本へは1970年代前半ころに輸入貨物とともに北アメリカより侵入した可能性もあると考えられている.現在知られている国内での最も古い成虫の採集記録は1973年の静岡県である.
国内では,現在,北海道,本州,四国,九州(沖縄島まで)に広く分布している.海外では,ヨーロッパ,北アフリカ,アジア,北アメリカなどの広域に分布し,ジャガイモ,トウモロコシ,アスパラガス,タバコなども食害することが知られている.
形態:
成虫の前翅長は20~24 mmで,前翅が赤紫色を帯びるかあるいは黄褐色となる二型がある.終齢幼虫の体長は37~41 mmで,頭部は黄褐色.胴部は背方では灰色の地色に褐色~淡黒色のまだら模様となり,時折これに黄色~赤っぽい色を混じらせ,背線の一部は白紋となる.腹方部は淡色となり,淡黄白色の紋がある.
加害作物:
【野菜】キャベツ,セルリー,ハクサイ,ホウレンソウ,レタス.
被害と生態:
多化性で,国内では成虫は2~11月に採集されている.以前は,国内では農業害虫としての記録はほとんどなかったが,長野県内では2005年にレタスに被害があり,2010年6~11月にも県内複数地域の各種葉菜類でも発生していることが確認された.また,愛媛県では夏どりホウレンソウで発生する.レタスにおける被害は,ネキリムシ類に顕著な,地際部の食害による被害株の枯死だけでなく,若齢幼虫による結球内部の葉の食害も生じることが明らかになった.新葉や芽の付近を食害するため,葉菜類では発見が遅れないように注意が必要である.
(2011.9.5 吉松慎一)