2015-07-15 最終更新
多種の農作物(主として果樹類)に寄生する広食性種.アフリカおよび南アジア~東南アジアにかけての熱帯・亜熱帯地域に分布.国内では1998年に沖縄本島のパパイアからはじめて発見され,その後沖縄県の全域に分布することが確かめられた.発見当初はEutetranychus orientalis (Klein)の学名が当てられていたが,のちにE.africanusが正しいことが判明した.侵入種の可能性もあるが詳細は不明である.九州以北からの発見事例はない.
形態:
雌成虫の体長は約0.4 mm.跗節先端に爪間体はない(Eutetranychus属の特徴).雌雄とも胴体部は緑褐色~褐色,脚は橙色で,Tetranychus属等の他の害虫ハダニと比べて偏平.卵も偏平.葉面に貼りつくように静止していることが多く,あまり動かない.生体の色彩や形状から,他属のハダニと容易に区別できる.
加害作物:
【野菜】オクラ.
【果樹】カンキツ類(おもにシークヮーサー),ゴレンシ,パパイア,モモ.
【花卉】インドソケイ,キバナコスモス,バラ.
被害と生態:
主として葉表に寄生し,吸汁箇所を白化させる.加害が進行すると,葉面全体が白くなり,遠目にもよく目立つ.沖縄県では周年発生しており,農作物以外ではソシンカ(ヨウテイボク)の仲間やデイゴの仲間(いずれもマメ科)などの海外からの導入樹木類への寄生頻度が高い.自然林の林縁などの自然植生から本種が発見されることはまれである一方,街路樹や公園の植樹等,人為的環境に植栽されている樹木においてよく発生がみられることから,主としてこれら樹木類に依存して世代をくり返している可能性が高い.
(2011.12.2 大野豪)