2015-07-15 最終更新
本種は,芝地を形成するコウシュンシバおよびコウライシバに寄生しているのが沖縄県で発見され,2004年に江原によってD.zoysiae Ehara として記載された.沖縄本島内の数か所の野生芝地で生息が確認されており,公園芝生やゴルフ場などへの侵入が懸念されている.
形態:
成虫の体長は雌雄とも約0.3mm,淡燈色~濃燈色で雌はほぼ円筒形.口吻に腹毛を有しない(パイナップルヒメハダニD.floridanus (Banks)には一対ある).雄成虫の胴幅は,後体部から末端まで鋭く狭くなっている.胴部背面の縦走条線は,パイナップルヒメハダニよりも少ないが,横走条線はそれよりも多い.雌の前胴体背毛第1対の長さは起点間の約1/5である.
加害作物:
【シバ類】コウシュンシバ,コウライシバ
被害と生態:
シバ類の葉鞘基部に寄生して吸汁する.加害部位では,成虫,幼虫,卵などが混在して発生する.加害によって葉長や節間が正常なものに比べ著しく萎縮したダニこぶ(mite gall)を形成する.芝草の葉の展開とともに加害部位は上位葉へ移動していくので,ダニこぶは枯死した下位葉も含め長さ5~6cmになることもある.芝生としての見栄えを損ねるが,株全体を枯死させるには至らない.
詳しい生態は知られていないが,沖縄県ではシバ類が冬季休眠をしないため,周年活動していると思われる.人通りの多い場所での被害が比較的多く,靴裏などを経由して加害域を広げていると考えられる.なお,加害部位のダニこぶ内にシバスジナガヒシダニも発生していることがある.
(2011.11.18 赤嶺光)