2015-07-15 最終更新
このミミズはイネの根のまわりに生息して株元に特徴的なふん堆を形成し,収穫作業の妨げとなる.
形態:
成体は体長が4~11cm,体色は淡赤色から赤褐色,尾部は黒褐色である.産卵期には体の前部に肥大した黄褐色の環帯が形成される.卵包は短紡錘形で長さが約4mm,はじめは黄褐色であるが孵化が近づくと赤褐色となる.孵化直後の幼体は体長1~1.5cm,体色は一部が赤みのある白色である.発育した幼体は体長,体重,体色ともに成体と同様になる.
加害作物:
【イネ】イネ
被害と生態:
イネの株元にふん堆をつくるため,コンバインの刈り刃が損傷するなど収穫作業の妨げとなる.また,モグラがミミズを求めて侵入するため畦に穴があき漏水の原因ともなる.
成体と幼体が越冬し,春の気温の上昇とともに深さ5~15cmの浅い土層に移動する.田植えの終わった6月上旬ころからイネの株元にふん堆をつくりはじめる.その後ふん堆の数はしだいに多くなり,ふん堆の高さも収穫期には10cmに達することもある.発生は中山間地~平坦地の砂質がかった土壌で水持ちが悪い水田に多い.また堆肥などを多く施用したり,有機物の多い生活排水などが流入する水田で多発生する傾向がある.
(2011.10.15 小塚雅弘)