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ケブカチチュウワタムシ

Smynthurodes betae Westwood

英名:bean root aphid

ヨコバイ目アブラムシ科

2015-07-30 最終更新

世界的に分布し,マメ科・キク科・ナス科など多くの双子葉類作物の根部に寄生する.

形態:
無翅胎生虫は体長約2mm,黄白色でほぼ球形,体表は微細な毛と薄いワックスでおおわれるが,ロウ腺や角状管はなく尾片は突出しない.触角は体長の約1/4と短く,第2節が長くて第3節とほぼ同長であることが特徴である.有翅胎生虫はやや小型で,各腹節には暗色の横帯が発達する.触角の第3節には6~10個,第4節には2~4個のだ円形をした二次感覚板がある.

加害作物:
【畑作物】インゲンマメ,ダイズ.
【野菜】ゴボウ.シソ,ミツバにも寄生.

被害と生態:
インゲンマメの根部に多発し,生育不良や早期枯死する事例が,北海道の渡島・十勝管内の家庭菜園で見られている.ゴボウ根への寄生も昭和初期の北海道から記録されている(Mordvilko,1935).地中海近辺を原産地とし,ピスタチオを一次寄主とする移住性の種類であるので,国内の個体群はすべて不完全生活環と思われる.世界的に広く分布し,寒冷地ではケアリ類の巣中で越冬するといわれるので,それが主体であれば小面積圃場や周縁部の作物にしか多発しないであろう.
(2011.10.20 鳥倉英徳)

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インゲンマメ根部のケブカチチュウワタムシ幼虫群(鳥倉英徳)

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ミツバのケブカチチュウワタムシ(全農教)