2015-07-15 最終更新
日本では,1992年に初めて沖縄本島で確認され,与那国島で2001年,そして石垣島,西表島で2006年に確認された.その後,2007~2008年には,九州・四国・中国・近畿地方,さらにその後,関東にも分布を拡大している.国外では,台湾,フィリピン,カリマンタン島,ロンボク島,西インドなどのアジアの熱帯,亜熱帯地域に分布する.海外ではマメ科やミカン科の摂食の記録もある.
形態:
開張は低温期型で27~30mm程度,幼虫期でのソテツ新芽の状態によってこれより小さい個体も出現する.雄の翅表は黒色の外縁部を除き全体的に藍色を呈し,通常雌の翅表は黒色部が多く中央部にだけ青色斑を備える.低温期型と高温期型では,雄雌とも翅の表裏の斑紋や色調が異なり,とくに低温期型の雌では翅表のほぼ全面に青色斑が広がることもある.幼虫の色彩はさまざまで,赤,緑,その中間も同時に見られる.終齢幼虫は体長10mmに及ぶ.蛹は約10mmで俵形,褐色のまだら模様.
加害作物:
【庭木】ソテツ.
被害と生態:
雌成虫はソテツの未展開葉や展開後間もない柔らかい葉に産卵する.1雌当たり300個以上産卵することもある.孵化した幼虫は柔らかな葉を食害し,未展開の新芽を食べつくすこともある.1株のソテツに多数の幼虫が発生し,新葉が激しく食害されることがある.幼虫は老熟すると葉の基部などで蛹化する.
(2011.9.5 吉松慎一)