2015-07-15 最終更新
クローバ類の実を食害するユーラシア西部原産の害虫.極東地方およびオセアニアに侵入した.日本では1991年に初めて北海道で発生が報告されたが,1960年代に採集された標本が現存するので,それ以前に侵入したことは疑いない.本州では1980年代に東北地方から発見され,今も分布拡大中である.
形態:
成虫は開張12~14mm,強い金属光沢があり,角度により赤紫色または紫緑色に見える.触角は中ほどから先は光沢のない暗灰色,末端部は白い.幼虫の筒巣は淡灰褐色,太い管状で表面に寄主の花被が密着し,十分成長すると長さ6mm,尾孔は3弁でY字形に閉じられる.
加害作物:
【牧草・飼料作物】シロクローバ,アカクローバ.
被害と生態:
卵は観察されていないが,花または若莢の表面に産下されると考えられる.幼虫は若莢に食い入り,空洞化した莢内に絹糸で筒巣を作る.巣が完成すると,幼虫はその元側から前半身を乗り出して行動し,新しい莢へ穿孔して次々に何個か食害する.老熟幼虫は巣内でそのまま越冬し,翌年の主として初夏に羽化するが,少数ながら盛夏期から初秋にかけて羽化する個体がある.北日本ではシロクローバの被害が大きいが,ヨーロッパではアカクローバに多いとも言われる.
(2011.10.10 奥俊夫)