2015-07-15 最終更新
1964年に,福岡市内のキヅタで大量に得られた標本をもとにして,宮武によって,新種として記載された.在来の野生のキヅタで最もよく発生し,栽培される色々な品種のキヅタ類でも発生するが,加害はあまり普遍的ではない.
形態:
成虫の全長(翅端まで)は2.8~3.4mm.羽化直後は全体が緑色であるが,やがて胸部のみ黄褐色になる.前翅は短くて丸く,黄色みを帯びる.触角は頭幅の約1.5倍.額錐は太く短く,頭頂よりやや短い.前方は開き,先端は丸まっている.秋に出る成虫は,体はやや濃色で,前翅は透明で後縁に黒い紋がある.終齢幼虫(5齢幼虫)は緑色で,体長は1.5~1.6mm,尾部から糸状の白いワックスを分泌する.
加害植物:
【庭木】キヅタ(ウコギ科)
被害と生態:
成虫も幼虫も葉から吸汁するが,幼虫は果実や果柄にも群生していることがある.年に2~3回発生するが,詳しい生活史は分かっていない.秋に出る成虫が,常緑樹などで越冬する.幼虫が群生すると,分泌される甘露が下の葉の表面に積もり,すす病が発生して,美観を損なうが,植物体が変色・変形するようなことはない.
(2011.11.4 宮武頼夫)