2015-07-15 最終更新
食用ユリにおいては,2006年12月に貯蔵中の鱗茎から幼虫が発見されたのが初発である.本種は日本では,北海道,本州,四国,九州に分布し,海外では朝鮮半島,中国,台湾に分布する.カタクリ,オニユリ,ヤマユリなどユリ類を寄主とする。
形態:
成虫の体長は5~7mm.体背面は赤褐色,体腹面,触角および脚は黒色である.上翅の点刻は列状をなし,点刻間室は強く隆起する.老熟幼虫は細長い円筒状で体長約10mm,体色は白色,頭部,前胸背および尾節板は淡褐色である.
被害作物:
【野菜】食用ユリ
【花卉】ユリ類
被害と生態:
幼虫は鱗茎表皮下を潜孔する.潜孔した部分の表皮はやがて褐変して破れる.潜孔部は断続して露出するため,鱗片表面に断続する幅2mm程度の点線状の溝が見られる.加害幼虫の一部は鱗茎中心部に入り込む症状も見られる.成虫はユリ類の葉を食害する.
北海道では5~9月にかけて成虫が確認されており,成虫越冬と考えられるが,詳細な年間の発生経過は不明である.発生地では,おそらく野生のユリ科植物などから栽培圃場に侵入したものと思われる.
(2011.10.14 青木元彦)